2012年3月30日金曜日

3月28日 東京農工大とその周辺

用事のついでに、校内とその周辺を歩いた。天候は晴れ時々曇り、一時雨も降った。

学校の近く、東八道路沿いの民家わきで見つけたシロバナタンポポ(キク科)。
関西には多いらしいが、関東ではぽつぽつと見かける程度。


学校の向かいの建物の塀にいたトラフコメツキと思われるコメツキムシ。 トラフコメツキだとすれば、春だけ発生する種らしい。




学内のアメダスのわきに群生していたホトケノザ(シソ科)。
我が農工大のキャンパス内に気象庁の「府中」のアメダスがある。

他にもヒメオドリコソウ、ミドリハコベ、ミミナグサ、ハルノノゲシ、オオイヌノフグリなど、様々な草本が花を咲かせていた。



ひときわ異彩を放っていたのが、このアザミの仲間のロゼット。種類は分からないが、恐らく外来種のアメリカオニアザミなどではないだろうか。 いかにも外来種、といった姿で、サンゴを食害するオニヒトデのような恐ろしげな印象を受けた。(オニヒトデは外来種ではない。念のため)



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マメカミツレ(Cotula australis)

3月22日 
自宅近くにてマメカミツレを発見。スーパーなど建物のわきの小さな地面に多く見られた。

マメカミツレはキク科の一年生草本。オーストラリア、ニュージーランドの原産の帰化植物である。一年生草本と言っても、花期や生育期はきっちりとは定まっていない。今回撮影したのは3月であるが、別に越年生草本というわけではないようである。夏や秋に開花していることもある。一般的な一年生草本ではなく、単にライフサイクルが一年以内におさまる種といえるのかもしれない。この規則性のない、短期間のライフサイクルから、この種の生育環境はかなり攪乱されやすい不安定な場所であったことが想定できると思う。英語ではsouthern waterbuttons などと呼ばれることから推測すると、川沿いに自生していたということだろうか。川沿いなら洪水で攪乱されやすい環境だから説明できるかもしれない。 まあこればかりは現地で観察してみない限り断定することはできない。

花の拡大。タンポポやヒマワリなどに見られる舌状花はなく、頭状花のみからなるために地味な印象を受けるが、植物体自体が小さいために意外と目立って見える。


果期の様子。 花が咲いているときよりも大きくなる。緑色のドライフラワーのような見た目である。

ところでマメカミツレという名前は、ハーブで有名なカミツレに由来する(はずだ)。「マメ」は小さいものの形容に用いられるから、小さなカミツレに似た草ということになる。
花の形は似ていないし、葉っぱを揉んでも良い香りがするわけでもない。細かく切れ込んだ葉の形がカミツレに似ているということなのだろう。


追記
生育期は決まっていない、と書いたが、観察する限りは春ごろに開花するものが圧倒的に多く、少なくとも自宅近くにおいては越年生草本に近い生態を示しているように思われる。



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英語で要約に挑戦してみます。(書き途中)
Cotula australis( southern brassbuttons; southern waterbuttons) is a species of plant in the Asteraceae family. This plant is native to Australia and New Zealand.

2012年3月23日金曜日

ナズナ(Capsella bursa-pastoris)

3月22日
近所でナズナが花期を迎えていた。

ナズナ(Capsella bursa-pastoris)は、アブラナ科の越年生草本。
別名はしゃみせん草やペンペン草など。これは果実の形を三味線のバチに見立てて、また三味線を弾く時の擬音語に由来するとのこと。(Wikipedia)より
果柄を半分裂いてぶらぶらにし、耳元でまわして音がするのを楽しんだ経験がある人も多いのではないだろうか。てっきり、その時に出る音の擬音が「ぺんぺん」なのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。


アブラナ科らしく花弁は4枚
標準和名「ナズナ」の由来であるが、「牧野 新日本植物圖鑑 (牧野富太郎 著、北隆館 発行)」には

撫菜(ナデナ)の意味で、愛(メ)ズル菜の意味かと思われるが明らかではない

と書いてある。「撫」や「愛ズル」のことはよく分からないが、「菜」というところから、この植物が食用として重視されていたことがうかがえるように思う。実際、ナズナは春の七草のひとつである。

ナズナの群落を見ていると、大きな株と
小さな株があることが分かる。

これらの大きさの違いは栄養条件によるものなのか、それとも発芽時期に違いがあるのか。
いずれにせよ、どんな大きさでも時期になれば花をつけ、実を成らすといういかにも雑草らしい強い生活力であると思う。


ところで、「日本帰化植物写真図鑑(全国農村教育協会)」によると、近年になってルベルナズナ(Capsella rubella)というヨーロッパ南部原産の近縁種が確認されているようだ。
ナズナとの比較として、全体に小型。また花弁は白~淡紅色でガク片よりわずかに長く、果実は狭逆三角形。一方のナズナは花弁は白色でガク片とほぼ同長、果実は逆三角形、と書いてあるが、全体の大きさは変異が大きく、また花弁の特徴は「牧野 新日本植物圖鑑」ではガク片より花弁が長いと書いてあるからあまり参考になりそうにない。まあ、DNAを調べれば一発か。
身近な植物が帰化植物に溢れる今、在来のナズナだと思っていたのが実は帰化植物だった、ということにならぬよう祈る。


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2012年3月16日金曜日

セッケイカワゲラ Eocapnia nivalis ?

3月11日
大学の友人たちと長野県北部へスキーに行った。前回滑ったのは中学1年のことだから、実に7、8年ぶりということになる。
天候は晴れ。気温はそれなりに高く、ゲレンデは溶けかけてザラメ状になっていた。

昼過ぎ、林の間を抜けるコースで一休憩しているときに雪面を小さな虫が歩いているのを発見した。 セッケイカワゲラである。
小学生の頃、白馬や小谷など長野北部へ春スキーに行くと必ず目にした、なじみの虫である。

セッケイカワゲラはクロカワゲラ科の昆虫。いくつか種類があるらしい。幼虫は他のカワゲラの仲間と同様川底で暮らすが、成虫が冬期に雪上で生活するという特異な生態を持っている。また成虫になっても一般のカワゲラと異なり翅がない。



気温の低い冬期に活動するというのは、昆虫としては随分と変わった生態だ。一般に外気温に体温が左右される昆虫は、低温条件では活動するのが難しいからだ。 
セッケイカワゲラの体色は黒っぽい。黒ければ太陽光により温まりやすくなる。それにより活動を可能にしているのかとも考えたが、あるサイトに書かれた研究者の記事(リンク)を参考にすれば、体温は外気温と同じであり、低体温でも活動できる仕組みを備えているそうだ。活動適温は-10℃~+10℃で、むしろこれより気温が高くなると活動できなくなるそうだ。

今回は見ることができなかったが、セッケイカワゲラのほかにもクモガタガガンボやタマバチの仲間など、様々な昆虫たちが雪上という特殊な環境で生活している。
冬期、また雪上という環境は一般の昆虫には生活しにくいものだろう。しかし一方で、この特殊な環境に適応をした昆虫にとっては競争相手の少ない楽園といえるのかもしれない。


14:46 友人とともに黙禱。


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